新型コロナウイルス対策(COVID-19)
免疫療法を受けている方々へ

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  • 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)のパンデミックが続いています。リウマチ性疾患や悪性腫瘍などで免疫療法を受けておられる方々にとっては不安な時期が続きますが、この2年でCOVID-19の理解が進み、またワクチンの普及、治療薬も開発されつつあり、適切な対応法も分かってきています。
  • 一般に、リウマチ性疾患の患者さんがCOVID-19発症に関して、一般の方と比べて特にリスクが高いということはないと考えられています。
  • 疾患活動性のあるリウマチ性疾患患者さんに対しては、必要な抗リウマチ薬、免疫抑制療法を行うことが推奨されます。
  • 抗リウマチ薬、ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤、チェックポイント阻害療法などの免疫療法の自己判断での休薬は、病状の悪化をきたす可能性がありますので避けて下さい。わからないことがあれば、主治医にご相談ください。
  • 公共の場での不織布マスクの使用、こまめな手洗い・手指消毒、三密の回避と換気、ソーシャルディスタンスをとる、環境消毒、大人数での会食を避けるなど日頃の感染対策を徹底するとよいでしょう。感染流行時には、時差出勤や在宅勤務を含む職場環境についても勤務先と十分にご相談ください。
  • ワクチン接種はCOVID-19の感染、発症、重症化の予防に有効です。リウマチ性疾患の患者さんは優先的な接種が推奨されます。ワクチンの有効性は時間経過とともに低下することが知られており、3回目接種についても推奨されます。また、リウマチ性疾患患者さんの同居家族・日常的に接する人もワクチン接種が推奨されます。
  • 妊婦さんは感染による重症化リスクや、胎児・新生児死亡のリスクがありますので、可能な限り予防接種をうけることをお勧めします。ワクチンによる胎児への悪影響についてのエビデンスはありません。お母さんの接種により子宮内や母乳から抗体が移行して赤ちゃんを守ります。
  • 患者さんにとっての一般的な留意点、COVID-19感染に関連した対応については裏面にまとめましたので、参考にしてください。また、詳しい情報は、厚生労働省、自治体や関連学会のホームページをご覧ください。SNS等で流布される医学的根拠に基づかない情報に惑わされないよう注意してください。
  • なお、このリーフレットは、令和4年4月15日時点の情報や考え方をもとに作成しています。状況に変化があった場合は、適切に改訂します。

一般的な注意点

新型コロナウイルス感染症は、新たな変異株への置き換わりにより、流行の収束が見通せない状況が続きます。オミクロン株は従来株と比べて感染力が強く、一方で重症化率は低いとされますが、免疫療法を受けている方にとっては注意が必要です。公共の場での不織布マスク、手洗い・手指消毒、三密回避、ソーシャルディスタンスの確保、定期的な換気を徹底してください。また、大人数での会食や不要不急の外出は控えてください。学校や職場での感染対策の徹底に加え、時差出勤や在宅勤務を考慮してください。


抗リウマチ薬、免疫抑制薬、生物学的製剤、チェックポイント阻害療法など免疫療法を受けておられる方は,自己判断での休薬は病状の悪化を来す可能性がありますので避けてください。特にステロイドの急な中止は、生命の危険がありますので、絶対にしないでください。免疫療法の継続の可否については,必ず主治医と相談してください。


日常の体調管理を行いましょう。毎日の体温、可能であれば酸素飽和度の測定を行うとよいでしょう。


コロナウイルス感染症流行期には、病状が落ち着いている場合には定期受診間隔の延長、オンライン診療も考慮されます。主治医と相談してください。



新型コロナウイルス濃厚接触、感染時の対応について

37.5度以上の発熱や咳嗽、のどの痛み、倦怠感、嗅覚・味覚障害などの症状がある場合は、主治医またはかかりつけ医に対応を相談してください。新型コロナウイルス感染症以外にも、様々な原因で発熱等をきたす可能性があります。新型コロナウイルス感染が疑われる場合には、「発熱外来」等を受診してください。受診可能な医療機関については、「受診・相談センター」等の相談窓口等へご相談ください。


新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した方、ご家族に患者さんがおられる場合は定期受診前に、医療機関に電話でご相談ください。医療機関または主治医と相談の上、必要に応じて外来受診の延期、オンライン診療の活用をご検討ください。また、来院日時や診療場所などを他の患者さんと分け、感染対策を取って対応する場合が多いですので、あらかじめ相談するとよいでしょう。家庭内に感染者や疑いのある方がいる場合は、家庭内での隔離を含めた感染対策を徹底してください。具体的には部屋を分ける、常時マスクを装着する、看病する担当者を限定する、接触後の手洗い、室内環境の消毒、こまめな換気、衣服・リネンの洗濯などに留意します。


抗リウマチ薬、免疫抑制薬、生物学的製剤、チェックポイント阻害療法など免疫療法を受けておられる方が、濃厚接触者または新型コロナウイルスに感染した場合、免疫療法の継続の可否については,必ず主治医もしくは免疫療法の専門家と相談してください。一部、休薬が推奨される薬剤もありますが、ステロイドなど継続が必要な薬剤もあります。免疫療法に携わる医師は、各々の専門領域での診療と共に、感染症専門医や救命救急医と連携して適切な治療法を提供いたします。


新型コロナウイルス感染後の免疫療法の再開時期については、主治医もしくはリウマチ性疾患の専門家と相談してください。再開時期のめやすとしては、無症状の場合には、PCR陽性判明後より10~17日後、軽症の場合は症状消失から7~14日後とされています。重症例では症例に応じて判断されます。



新型コロナウイルスワクチンについて

コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン:ファイザー、モデルナ,ウイルスベクターワクチン:アストラ・ゼネカ)>接種により、コロナウイルス感染、発症、重症化予防が可能です。免疫療法を受けている方は、コロナウイルスワクチン接種をすべきであると強く推奨されています。日本ではステロイドなど免疫の機能を低下させる治療を受けている場合は、「基礎疾患を有する者」とされ、本人の同意があれば優先的に接種を受けられます。ワクチン接種の可否、注意点について、あらかじめ主治医とよく相談しておくとよいでしょう。


コロナウイルスワクチンの有効性は時間の経過とともに低下することが知られています。3回目接種により、オミクロン株に対しても、感染予防及び重症化低減効果が期待されます。3回目接種ついても、免疫療法を受けている方は優先的な接種が推奨されます。


リウマチ性疾患の患者さんにおいても、ワクチン接種は、一般の方と同等の有効性が期待されると考えられています。ただし、一部の抗リウマチ薬、免疫抑制剤についてはワクチンの有効性を下げる可能性があることが示唆されており、休薬やワクチン接種のタイミングについて、主治医と接種前によく相談して、計画的に接種することが重要です。


ワクチン接種による副反応については、リウマチ性疾患の患者さんで特に頻度が高いということはありません。一般に新型コロナウイルスワクチン接種の副反応としては、注射局所の疼痛、発熱、倦怠感等が接種後1~2日間生じることが知られています。副反応の詳細については、厚生労働省などの情報を参照してください。また、ワクチン接種によるリウマチ性疾患の病勢悪化については、その頻度が増えることはないとされています。またワクチンにより自己免疫疾患が増えるという証左もありません。ワクチン接種後に体調不良が続く場合には、他の疾患を考慮する必要がありますので主治医にご相談ください。


ワクチン接種後も、不織布マスクや手指消毒などの感染予防対策は引き続き行いましょう。



COVID-19治療について

COVID-19に対しては、一定の有効性が認められる治療薬が開発されています。


患者さんの病状に応じた適切な治療が必要になります。免疫療法に携わる医師は、各々の専門領域での診療と共に、感染症専門医や救命救急医と連携して適切な治療法を提供いたします。非認可薬の個人輸入、自己投与は絶対に避けてください。


抗ウイルス薬(レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレビル/リトナビル)
:ウイルスの増殖を直接抑える薬剤ですが、薬剤相互作用や投与禁忌がありますので処方は専門医にご相談ください

中和抗体薬(ソトロビマブ、カシリビマブ・イムデビマブ)
:ウイルスを中和する抗体製剤です


免疫抑制薬(デキサメタゾン、トシリズマブ、バリシチニブ)
:ウイルスによって誘発された、「免疫の暴走」を抑える薬剤です


抗凝固薬(レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレビル/リトナビル)
:COVID-19における血栓予防・治療のための薬剤です



参考:新型コロナウイルス感染症 重症度別マネジメントのまとめ
(新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第7.0版より)