免疫疾患横断セミナーシリーズ第5回

免疫疾患横断セミナーシリーズ第5回

プログラム

日本臨床免疫学会が、会員以外の方を対象に企画したセミナーです。
学会員も参加でき、研修認定単位1単位が取得できます。


Human Immunology Priming Seminar
~領域横断的な臨床免疫の特徴を理解しよう~
2024年7月13日(土)12:00~16:50
会場: ステーションコンファレンス東京 5F 503AB


様々な領域の免疫疾患のエキスパートが、臨床免疫の視点で俯瞰しつつ入門レベルから解説します。
まだ専門分野を決めていない、研修医・専攻医も歓迎です。


 開催形態
ハイブリッド(会場参加・ウエブ参加のいずれも可能)
 参加費
無料(学会の単位認定料のみ有料)
 主 催
一般社団法人 日本臨床免疫学会
 ランチョン
 セミナー共催
アッヴィ合同会社
 イブニング
 セミナー共催
サノフィ株式会社



参加申込締切:2024年7月4日(木)17:00

※お申込いただきました方には、会期2週間前頃までに視聴用URLをご連絡いたします。
※学会員で単位取得を希望する方には、6月に単位登録料をご請求いたします。



12:00 - 12:50 ランチョンセミナー


「JAK阻害薬の基礎と臨床」

 座 長 :
田村直人(順天堂大学医学部 膠原病内科)
 演 者 :
中山田真吾(産業医科大学医学部第1内科学講座)

 (共催:アッヴィ合同会社)


13:00 - 15:50 第5回免疫疾患横断セミナー


 司 会 :
藤尾圭志(東京大学大学院医学系研究科内科学 アレルギー・リウマチ学) 
松本 功(筑波大学医学医療系 膠原病リウマチアレルギー内科)


13:00-13:10 開会挨拶

 田中良哉(一般社団法人 日本臨床免疫学会 理事長)

13:10-13:45 リウマチ膠原病領域「リウマチ膠原病の分子病態に迫る」

 新納宏昭(九州大学大学院医学研究院 医学教育学講座)

13:45-14:20 皮膚科領域「皮膚免疫疾患の病態理解と治療の進歩」

 浅野善英(東北大学大学院医学系研究科 神経・感覚器病態学講座 皮膚科学分野)

14:20-14:30 休憩

14:30-15:05 消化器内科領域「サイトカイン制御の2面性から考える炎症性腸疾患と全身の免疫異常」

 櫻庭裕丈(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液免疫内科学講座)

15:05-15:40 小児科領域 「先天性免疫異常症の適切な診断」

 岡田 賢(広島大学大学院医系科学研究科 小児科学)

15:40-15:50 閉会挨拶



16:00 - 16:50 イブニングセミナー


「免疫アレルギー疾患における皮膚の位置付けとアトピー性皮膚炎」

 座 長:中島裕史(千葉大学大学院医学研究院 アレルギー・膠原病内科)
 演 者:柴田 彩(東京大学大学院医学系研究科 皮膚科学)
(共催:サノフィ株式会社)



講師紹介


新納宏昭

新納 宏昭

九州大学大学院医学研究院
医学教育学講座

免疫はわたしたちが病原体などの疫から免れるための重要な生体システムです。このシステムの適切な機能には自己と非自己の正確な区別(自己寛容)が大事です。リウマチ膠原病とは、自己寛容の破綻によって、皮膚、関節、肺、腎、神経などの全身臓器 (自己)が自らの免疫によって攻撃される疾患です。わたしが医師になった当時、本疾患の治療薬は無差別的な免疫の制御を図るステロイドのみでした。その後、基礎・臨床免疫学は劇的な進歩を遂げて、本疾患の病態におけるkey playerへの標的治療がベッドサイドで可能な時代となりました。その一方で、治療抵抗性などヘテロなヒト病態の存在も明らかとなり、いかにわれわれの自己寛容が巧妙なメカニズムで制御されているかを日々体感しつつ興味は尽きません。リウマチ膠原病の分子病態のお話を通して、明日の医学へつながる臨床免疫分野での研究の魅力がお伝えできたらと思います。

浅野善英

浅野 善英

東北大学大学院医学系研究科
神経・感覚器病態学講座 皮膚科学分野

皮膚免疫は身体表面に位置し、外部からの脅威に対する特異的な免疫応答を示す複雑な機構を備えています。この領域の理解は、分子標的療法の進歩とともに飛躍的に進展しており、乾癬やアトピー性皮膚炎などの代表的な皮膚免疫疾患では、Th17細胞の応答異常や皮膚バリア機構の破綻が病態の中心であることが明らかになりました。同様に、膠原病領域では全身性エリテマトーデスにおいて皮膚免疫と多臓器病変の接点が浮かび上がり、全身性強皮症では病変部皮膚の解析から免疫異常と線維化の接点が明らかになり、新たな治療戦略が提案されています。本講演では、乾癬と全身性強皮症における最新の知見を臨床免疫学の観点から総括し、今後の治療戦略についても議論したいと思います。

櫻庭裕丈

櫻庭 裕丈

弘前大学大学院医学研究科
消化器血液免疫内科学講座

1993年にクローン病に対して世界で初めて投与された抗TNFα抗体治療は、炎症性腸疾患(IBD)の内科治療の歴史を大きく変えた。たった一つのサイトカインに対する抗体が、これほど大きな効果を示した背景には、抗TNFα抗体治療が、単にTNFαのシグナル抑制効果だけではないことがわかっている。また、可溶性TNF受容体-IgG融合蛋白やCTLA4-Ig製剤が関節リウマチには有効だが、IBDには無効である、抗IL-6受容体抗体は、高安動脈炎には有効だが、一方で腸管穿孔のリスクによりIBDでは使用が難しい、そして抗CD20抗体や抗IL-17抗体はIBDの増悪と腸炎発症のリスクが高まることなどがわかっている。IBDは約30%の症例で関節炎などの腸管外合併症を認めが、本講演ではIBDと他臓器の自己免疫疾患におけるサイトカイン制御の有効性の2面性を考えることで見えてくる全身の免疫のしくみについて若手の先生たちと一緒に学び、臨床免疫学の魅力を共有したい。

岡田 賢

岡田 賢

広島大学大学院医系科学研究科
小児科学

近年の遺伝学的検査の急速な進歩により、先天性免疫異常症(IEI)の診療は大きく変化しました。適切な診断に基づく治療の選択が重要な一方で、責任遺伝子の同定を契機にIEI患者の約半数で臨床診断が修正され、約25%で治療方針が変更されるとも言われています。本症に対する遺伝学的検査は保険収載されており、更に2024年度からは『一部のIEIを対象とした拡大新生児スクリーニング検査』が国の実証事業として開始見込みです。単一遺伝子の異常により発症するIEIは、ヒトの宿主免疫における該当分子の役割を紐解くうえでも重要な知見をもたらします。セミナーを介して、診療と研究とが密接に繋がるIEI診療の魅力が伝わればと思います。

共催セミナー抄録:ランチョンセミナー


中山田真吾

産業医科大学医学部
第1内科学講座

JAK阻害薬の基礎と臨床
JAK阻害薬は、サイトカインシグナルを媒介する細胞内キナーゼのJAKを標的とする分子標的薬である。JAK阻害薬は、免疫および炎症の病態をマルチターゲットに制御することで、関節リウマチ(RA)をはじめ、アトピー性皮膚炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎などに承認されており、さらに多くの自己免疫性リウマチ性疾患に対する臨床治験が進行中である。ウパダシチニブは、複数の第3相試験で有効性、安全性が確認され、2020年にRAに対して保険収載された。当科の臨床レジストリでは、ウパダシチニブは治療抵抗性および早期段階のRAの双方で寛解達成率が高く、優れた有効性を示した。JAK阻害薬は、自然免疫系、獲得免疫系に広く作用し、免疫学的な異質性が高い疾患への有効性が期待される一方、安全性への配慮が必要である。本発表では、基礎と臨床の観点から、JAK阻害薬の現状と展望を議論したい。


共催セミナー抄録:イブニングセミナー


柴田 彩

東京大学大学院医学系研究科
皮膚科学

免疫アレルギー疾患における皮膚の位置付けとアトピー性皮膚炎

皮膚は体の最も外側に位置する臓器であり、常に様々な刺激にさらされています。アトピー性皮膚炎は、アトピーマーチとして知られる一連のアレルギー反応の中で最も初期に表れる症状であり、皮膚の感作が後の食物アレルギーやその他の粘膜免疫反応にも影響を及ぼします。また、繰り返される炎症は皮膚に炎症の「記憶」を残し、アトピー性皮膚炎の慢性化につながります。本セミナーでは、皮膚のこのような位置付けと、アトピー性皮膚炎の発症メカニズム及びその長期にわたる影響に焦点を当て、免疫アレルギー疾患における皮膚の重要性について考察します。また、小児における重症アトピー性皮膚炎の治療選択肢は外用療法が中心でしたが、IL-4やIL-13などの病態形成に重要なサイトカインを標的とする新規治療薬の開発により、治療の選択肢が増えています。これらの新規治療薬による治療効果についても概説します。