京都大学大学院
医学研究科
臨床免疫学
三森 経世
日本臨床免疫学会 Midwinter Seminar 2009 を終えて
日本臨床免疫学会Midwinter Seminar(MWS)2009が2月18日~21日に沖縄で開催されました。このセミナーは、日本臨床免疫学会が2007年より企画開催している若手研究者のための教育コースであり、臨床免疫学を志す若手研究者(YI)による基礎的および臨床的研究の発表と討論を通じて、我が国における次世代および次々世代の臨床免疫学発展を担う新進の研究者を育成することを目的とするものです。
全国から臨床免疫学の様々な分野における23名のYIが参加し、8名のチューターの指導のもとで各自の研究発表とホットな討議が展開されました。全員の研究内容と発表態度はいずれもすばらしく、YI同士のディスカッションも最初はおずおずとしたものでしたが、セッションが進むにつれ活発で熱心な質疑応答が繰り広げられ会が盛り上がっていきました。またDF talkとして、山村隆先生(国立精神・神経センター)、竹内勤先生(埼玉医科大学)、田中良哉先生(産業医科大学)、藤田次郎先生(琉球大学)よりYI に対する臨床免疫学研究の熱いメッセージをいただいたことも、YI には大きな刺激になったものと思います。さらに、フリータイムとなった3日目の午後は、グループで水族館や首里城などの沖縄観光を通じて互いの交流を深めたことでしょう。参加者にとって、このMWS2009は通常の学会では得ることのできない貴重な体験となり、今後の各自の研究を発展させあるいは方向を探る上で大きな自信が得られたものと思います。また、この会で培った友情と交流をどうか一生の宝物としていただきたいものです。今回参加のYI全員のさらなる活躍と日本臨床免疫学会への貢献を期待します。
MWS2009の成功はセミナーの企画運営とYIの指導に力を尽くしていただいた8名のチューターの活躍なくしてはありえませんでした。誠にありがとうございました。また、当セミナーの開催に当たり、共催各社の多大なるご支援を賜りました。心より御礼申し上げます。
2月18日(水)
18:00~18:15 | Keynote Address 臨床免疫学に望むもの 京都大学大学院 医学研究科内科学講座 京都大学 医学部附属病院 免疫・膠原病内科 三森 経世 |
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2月19日(木)
8:00~8:15 | DF talk-1:臨床免疫学の再生と私の研究 国立精神・神経センター神経研究所本館免疫研究部 山村 隆 |
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8:15~10:00 | Session A:Molecular Hunters in Clinical Immunology チューター 東京医科歯科大学 膠原病・リウマチ内科 上阪 等 A-1 肺癌幹細胞抗原 SOX2のCTLエピトープの同定 A-2 筋炎特異的自己抗体 (抗CADM-140抗体)の臨床的意義とその対応抗原 A-3 DNA Diagnosis for Primary Immunodeficiency in Japan: |
10:15~12:00 | Session B:Dissection of Human Lymphocytes in Diseases チューター 東京医科歯科大学 発生発達病態学分野 森尾 友宏 B-1 IL-23 differentially regulates the Th1/Th17 balance in ulcerative colitis and Crohn's disease B-2 播種性Mycobacterium avium 感染症の病態解明 ―AIDS剖検症例の検討から― B-3 TRECs(T-cell receptor excision circles),KRECs(kappa-deleting recombination excision circles)を用いたT細胞・B細胞機能不全症患者の新生児マススクリーニング法の開発 |
13:15~13:30 | DF talk-2:臨床免疫学の魅力 埼玉医科大学 総合医療センター リウマチ・膠原病内科 竹内 勤 |
13:30~15:15 | Session C:Spotlight on underestimated blood cells in immunity チューター 埼玉医科大学 総合医療センター リウマチ・膠原病内科 亀田 秀人 C-1 薬剤性アナフィラキシーおよびアレルギー性疾患を対象とした好塩基球の機能解析 C-2 脂質メディエーターによる好酸球関連皮膚疾患への臨床応用に向けて C-3 皮膚アルサス反応における炎症細胞浸潤のメディエーター細胞としての血小板の役割 |
15:30~17:15 | Session D:Angiogenesis チューター 金沢大学大学院 医学系研究科 皮膚科学 長谷川 稔 D-1 関節リウマチモデルマウスにおけるHGFアンタゴニストNK4による関節炎抑制効果 D-2 関節リウマチの病態形成におけるCXCR7の役割について D-3 Angiostatin Kringle 4.5を介したNicked beta2Glycoprotein I の血管新生に与える影響 |
2月20日(金)
8:20~8:35 | DF talk-3:ベンチとベッドサイドの間で 産業医科大学 医学部第一内科 田中 良哉 |
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8:35~9:50 | Session E:Self-tolerance checkpoint in B cell biology チューター 筑波大学大学院 臨床免疫 松本 功 E-1 CD22/CD72-/- マウスにおけるB細胞シグナル伝達 E-2 難治性全身性エリテマトーデスに対する抗CD20抗体(rituximab)による治療効果と作用機序 |
10:00~11:45 | Session F:Mesenchymal cells: tissue repair and immune modulation チューター 東京大学 医学部附属病院アレルギーリウマチ内科 川畑 仁人 F-1 皮膚創傷治癒ならびに線維化過程における骨髄由来細胞のコラーゲン合成への関与 F-2 Effects of TNFalpha, IL-1, IL-6 and IL-17 on osteoblast differentiation of human bone marrow-derived mesenchymal stem cells F-3 FGF-Integrinの新たなシグナル伝達機構の解析 |
19:45~20:00 | DF talk-4:楽しい臨床研究から楽しい臨床へ 琉球大学 医学部感染病態制御学 藤田 次郎 |
2月21日(土)
8:00~9:45 | Session G: Mechanisms of Action in Autoimmune & Autoinflammatory Disease チューター 慶應義塾大学 医学部内科学(消化器) 久松 理一 G-1 関節炎発症におけるNKT細胞の役割 G-2 腸管粘膜免疫におけるmucosal associated invariant T細胞の役割 G-3 G304R変異を有する家族性地中海熱2症例におけるMEFV遺伝子発現の特徴とpyrin蛋白機能の解析 |
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10:00~11:45 | Session H:immune regulation チューター 大阪大学 医学部呼吸器・免疫アレルギー・感染内科 田中 敏郎 H-1 CD4+CD25+制御性T細胞欠損マウスを用いた新規免疫性血小板減少性紫斑病マウスモデルの作製 H-2 膵島自己抗原の経鼻投与による1型糖尿病発症阻止法の開発 H-3 siRNAライブラリーを用いた癌細胞免疫抑制シグナルの同定 |
11:55~12:10 | 委員長講評 閉講式/授賞式 |